転職サポート

リスクとリターン

大手企業に中高年まで長期間在籍するリスク

転職を奨励するわけではありません。私自身、転職をして苦労しましたし良い経験にもなりました。多くの方々は、「転々とするよりも生涯一つの会社に勤務して、落ち着いた職業人生を送りたい。」と思われるのが自然でしょう。
しかし、ご存知の通りバブル崩壊以降、その終身雇用神話も崩壊しました。取締役まで出世できる方は別ですが、そうでない限り、逆に一社に在籍する期間が長過ぎると転職のチャンスも奪われるという大きなリスクを背負うことになります。

あくまで一般論ですが、初めての転職は35歳ぐらいまでにしておいた方が、異なる環境への適応能力という点で安全でしょう。私は38歳で初めて転職しましたので、同業界とは言え結構苦労しました。転職先の業界が同じでも企業風土や人間関係は全く異なるわけですから、そこで苦労します。偉そうに人様の転職コンサルタントをやってきたわけですが、自分の事となるとお恥ずかしい話です。

今になって思うのです。一社目の会社で社長になる自信を持てなかったら、30歳迄に転職するか、独立した方が良いと。将来どうなるかもわからないのに、30歳を過ぎても一社に在籍し続けていると、加齢と共にリスクが急速に増大します。異なる環境への適応能力が、どんどん損なわれていくからです。

「だからと言って転職してもハッピーになる保証は全くないじゃないか!!」と思われるでしょう。
しかし、現状に留まるリスクと思い切って転職するリスク、どちらが高いと思われますか?皆さんは、「チーズはどこへ消えた?」という本を読まれましたか?答が書かれてあると思います。不満を抱えながら現状に留まる暇があったら、とにかく前に進みながら答を探し出す。理屈は後。

大企業一社だけのご経験で、40代・50代の転職希望の方が多く来られますが、正直に申し上げて、このようなケースは結構苦労します。一握りの例外を除き、異なる環境への適応能力が損なわれています。
求人企業側も、それをご存知なので、適応能力を損なっている可能性が高い人材を採用するというリスクテイクはしません。これぐらいのご年齢ですと、2社か3社、転職経験ある人材の方が有利です。



独立系ベンチャー企業(オーナー企業)に転職するリスクとリターン

一口にベンチャー企業と言っても、いろいろなステージがあります。
設立間もない立ち上げ期、事業が軌道に乗り始めて社員数も増え始める時期、収益基盤ができて次なる飛躍を目指して株式公開を準備する時期等、いろいろです。それぞれのステージによって、経営課題が違いますので、必要とされる人材も変化します。

ベンチャー企業というのは、その名の通りベンチャーですからリスクはつきものですね。ハイリスク。実際に私の経験上も、歴史ある上場企業の平均的定着率と比較しますと、ベンチャー企業の定着率は明らかに低いと言えると思います。

では、なぜ定着率が悪いのか?理由は様々ですが例えば、(1) 仕事がハード、(2) 方針がころころ変わる、(3) 経営者が独裁的、(4) 仕事がハードな割に給料が安い、(5) 周囲の社員がよく辞めるので自分も落ち着いて働けない、(6) 業績不安定、などが比較的多いでしょうか。

しかし、ポジティブに考えると、(1) やる気があれば思いっきり働ける、(2) 経営に柔軟性がある、(3) 意思決定が早い、(4) 給料は高くないが株式公開できればキャピタルゲインがある、(5) 認められれば短期間で経営ボードに参画できる可能性もある、(6) 不安定だから大きく化ける可能性もある、などと言うこともできます。これが、ハイリターンでしょう。

要するに、ポジティブで主体的に物事を考えられて、自発的に行動できる人、体力・気力共に充実した人でなければ通用しないのではないでしょうか?そして、努力した結果、どうしても将来性がないと判断したら、また新しい職場を探す。場合によっては独立することも視野に入れている。それぐらいの覚悟があるか?ということでしょう。