採用企業の皆様へ

成功事例と失敗事例

成功事例
現在のスキルや知識より、一緒に働きたいと思うタイプの人材を採用し大成功

ある通信業界の企業の社長から、技術部長候補の案件を依頼された。1ヵ月後に通信業界現職3名の候補者に絞り込み、全員面接の運びとなった。私も全員の面接に同席した。

しかし、1人として社長のOKが出ない。理由は「一緒に会社を大きくしようという覇気を感じない。」そこで、私は社長に提案した。「通信業界にこだわらず、IT業界全般に領域を拡大して探しましょう。」

社長は私の提案に応じてくださり、2回目の面接の候補者は通信分野未経験のIT技術者5名になった。社長はこの5名中1名の方に興味を持たれた。理由は「前向きな性格で一緒に仕事をしたいと感じるタイプだ。柔軟性もありそうなので、勉強すれば通信の知識も早く吸収するだろう。」
私は、社長が興味を持たれた候補の方の感触を聞いた。「フランクな社長で仕事がやりやすそうだ。自分も勉強が必要だが、自分の可能性に賭けてみたい。」

二次面接の前に社長は候補の方に通信の専門書を渡し、「次の面接までに読んできてください。次の面接では、その本の内容に関して話しましょう。」とおっしゃった。

1週間後に二次面接が行われた。社長は満足そうなご様子だった。「短期間に、あの難解な本をよく勉強してきたと思う。あれなら心配ない。」

候補の方にも感触を聞いた。「勉強する内に興味が増幅した。私はこの分野の第一人者になりたい。」

その後は、会食の場を設け、お互いの気持ちを直接確認していただいた。結果として、候補の方は2ヵ月後に入社され、今では社長の右腕、技術のトップとして多くの部下の育成に努めている。お客様の信頼も絶大である。

5年後、社長の会社は上場を果たした。「彼なくしてこの会社はない。採用はスキルより感性だね。」


失敗事例
真の決裁者に会わずに人材を紹介してしまった。決裁者は社長の義父だった

ある機械メーカーの二代目社長から、管理本部長(取締役)がほしいと依頼された。1ヶ月後、3名の候補者に絞込み、面接を行った。

社長の評価は上々で、「内2名は甲乙つけがたいので、それぞれの方と食事をしましょう。」ということになった。その結果、まずはA氏に絞って話を進めることにし、他の役員にもA氏を紹介する機会を設けた。

A氏の素晴らしいお人柄のためか、専務も常務も全く問題ない。あとは、一日も早く入社いただきたいと、とんとん拍子に事が運んだ。私は社長に、「それでは正式な条件提示を書面でお願いします。」と言った。社長も快諾された。ご本人の感触も全く問題なく、あとは採用条件通知書を待つのみだった。

しかし、その後1週間音沙汰がない。どうしたのかと思い社長に電話をして状況確認した。
「いやー、大変申し訳ないが会長が少し待てと言っている。」
「会長さんとはどなたですか?」
「言い忘れたが、私の義父で創業者だ。現在の管理本部長はまだ働ける。65歳だがまだまだ元気だ。後任を採用するのは時期尚早だと言い出した。誠に申し訳ないが、この話は一旦白紙に戻せないか?」
「直接、会長に会わせてください。私が説得します。現在の管理本部長の処遇の方法は他にもあるはずです。社長の組織改革が遅れますよ。」
「また、機が熟したら連絡するよ。とにかく、A氏には申し訳ない。私からもお詫びの手紙を書くよ。」

※初歩的な事例ですが、私が社長を婿養子だと知りながら、本当の決裁者を確認しなかった為に一つの貴重なお見合いが不成立となりました。A氏には丁重にお詫びしました。その後、A氏には別の企業をご紹介して、現在は常務取締役管理本部長としてご活躍中です。本当に良かったです。